『わかる』から『できる』へ
- 「わかる」から「できる」へ!
塾の先生を長年やっている人ならばこの言葉の一言に絶対になります。「授業だけで成績を上げます」なんて夢の話です。テレビで見るような有名な先生の授業を聞いても勝手に成績は上がりません。もし有名な先生の授業を聞いて成績が上がるならば,その先生がいる塾の全員の成績が上がるはずです。でも,現実にはそうではなく大半の生徒の成績はあがりません。世間ではわかりやすい授業を聞けばテストで点数が取れるようになると思っている人が多く,その沼から抜け出せない人が大半なのです。わかりやすい授業は必要ではないとは言っていませんので勘違いしないでください。わかりやすい授業は最低限必要です。授業後の行動のことをここでは言いたいのです。
- ここで言う授業後の行動とは何なのでしょうか。それは自分1人の力で「できる」にすることです。私もとうとう塾講師歴が25年となり,この間にいろいろな経験をしてきました。その経験から生徒がわからないことがあれば教えることで「わからせる」ことはできます。しかし,その後に「できる」に変えるのは至難の業なのです。
- では,生徒たちを「できる」に変えるのはなぜ難しいのでしょうか。それは「生徒と教師の二人三脚」つまり「私だけでは何もできない」からです。「できる」に変えるには,生徒本人が塾で学習した問題を1人の力で解くことができるように繰り返し学習するしかないですし,英単語や歴史上の人物,川の名称,化学式など全部言っていたらきりがないですが,そのような暗記するようなものは塾に来るだけでは覚えられませんから,家庭学習などで覚えるしかありません。教師側の要望を生徒側が応えてくれないと成績は上がらないのです。
- それでも当塾を選んでいただき通っていただいてもらっている以上こちら側の働きかけで少しでも「できる」に変えていかなければいけないですし「できる」に変えたいのです。そのために取り組んでいることが何点かあります。
- まず1つ目は教材です。時間は有限であって必ず受験日は来ます。その限られた期間の中で基礎基本を網羅し効率よく学習できる教材は重要です。定期的に書店に通い,目新しい教材があれば購入し研究したり,自ら教材を作成したりすることで完璧を目指しています。
- 2つ目は,宿題管理と確認テストです。宿題管理は主に中学生に行っています。学習した内容を復習しないと多い子だと1週間で7割から8割くらい忘れるので宿題を出しています。やらされるのでなく自分のためにやってください。確認テストは主に高校3年生の大半の教科と高校1・2年生の英単語や英語構文などの暗記系です。確認テストは塾外できちんと学習してなければ合格できないので受験する学年には効果的です。しかし,抜き打ちで確認するとほぼ大半の生徒が問題を解けなくなっています。これは確認テストだけのために学習しているからです。そこで,いかに日頃にきちんとした学習をしていないかを生徒たちに伝えます。(高校1・2年生に数学などの確認テストをやっていないのは授業時間が減ると学校のテストに間に合わなくなるからです)
- 3つ目は,授業中は演習時間をメインにし,できる限り生徒自身の力で解いてもらうことです。
当塾のテキストは例題がしっかりしているので,例題を読み生徒自身で学習をしていくことにしています。なぜならば,他人から得たものほど忘れやすいからということと,授業を聞いている時間があるならば演習をした方が良いからです。もちろん読んでわからなければヒントを与えたり教えたりしますし,問題は解けているがちゃんとわかっていなさそうとこちらが感じれば教えます(ちなみに,このように私が何かを助言するような形になっているのであれば,それは忘れやすいということを示唆していることになりますから,私から教わったものほど復習しなければいけません) また,近年の受験問題は文章を読み,その文章中にあるヒントから問題を解くというものが増えています。授業を聞き,他人から情報ばかり得るような学習ばかりしているとこのような問題に対応できなくなります。さらに社会に出た際に,報告・連絡・相談は大切ですが,誰かに指示ばかりされるのではなく自分から学んだり状況に応じて行動を変えたりするような力もこのような学習を通じて身につけて欲しいと思っています。さらに,演習時間を少しでも多く確保し,できる限り授業中に2周目や3周目の学習させることも目標としています。これは,生徒の進度にもよるのですが,学習する内容が少ない中学生には実行できることがあります。この場合,定期テストの結果も良いことが多いです。しかし,高校生は学習する内容が多いので大半の生徒が1周目の学習しかできません。ですから,各生徒が家庭で2周目や3周目の学習をしなければ結果は付いてこないかもしれません。 - 以上はあくまで当塾で行っている事の一例にすぎません。知っていただきたいのはただ単に授業をしているわけではないということです。
- 世の中には繰り返し学習の重要性を分かっていない人が多いので,ここでその話を一旦しておこうと思います。例えば,皆さんは九九を言えますよね。なぜ九九を言えるかを考えたことありますか。普通に小学2年生の頃から学校の宿題や学校の授業を受けていれば九九は毎日使います。かけ算を使わない日の方が珍しいわけです。このように毎日使うものは勝手にできるようになりますただ,学年が上がるにつれて学習するものはできないものが増えてきます。例えば,分数の足し算をできない大学生がいるというニュースを見ます。それは九九とは違い,使うタイミングが九九よりも少ないからです。人間はある知識を使わない期間が長くなるとその知識を忘れてしまうのですが,分数の足し算はそれを勝るくらい回数をこなしていますからそうは簡単には忘れません。ですから,分数の足し算ができないという生徒は少数派になるわけです。これが中学生の数学や高校生の数学になればなるほど1問1問の問題処理が長くなるので使用する総回数が極端に少なくなり,そして使うタイミングがさらに少なくなります。ですから,1ヶ月前はできていたのに今はできませんなんていうのは少なくありません。これは,定期テストで単元がまたぐ場合によくあります。新しい単元の内容を学習している間に前単元の問題を解くことがなくなり忘れてしまうケースです。以上をまとめると学習で大切なのは,総回数と使用する間隔ということになります。まずは総回数を増やし確実に解けるようにします。そしてその後にその内容を忘れないように定期的に使う(復習する)ということです。
- 最後に繰り返しになりますが,私ができることは,「わかる」にさせることと「できる」に変えるための準備です。その後は皆さんが「できる」に変えるための行動をしなければなりません。繰り返し学習を基本に「わかる」から「できる」に変えていきましょう。
- 当塾にて学習してくださっている皆さんの成績が上がり,夢の一歩を踏み出せるようにできる限りのフォローをしていきますので互いに頑張っていきましょう。